オタワの天使のオタワ日記

カナダをこよなく愛する、オタワ在住の天使がお届けするオタワの日常レポート。

時間電車に乗りながら思うこと

2020年6月13日 オタワにて綴る -

 

皆さんこんにちは、オタワの天使です♪

今日、この日記を訪ねてくださったことに心から感謝します☆

 

6月半ばに差し掛かるこの週末。晴れ空の暑い夏日が続いた先週とは打って変わって、今週のオタワは雨の日と風の日が続いた一週間でした。つい3週間前には黄色い赤ちゃん葉っぱをつけていた庭のメープルの木々たちが今はもう濃い緑の大きな葉っぱを身にまとい、立派な木陰を作っています。風が吹けば、さわさわと美しい音があたり一面に響き渡ります。この音、ずーっと待っていた懐かしい音!心の落ち着く、やさしい音。

 

皆さんのお住いの場所では、今どんな季節の景色が顔を見せていますか?

 

最近、私には毎日ひそかに楽しみにしているイベントがあります。それは、天気の良い日の午後に、仕事時間を終えてシャワーを浴びた後、庭のパティオに座って本を読むことです。「親愛なるメープル」の作る木陰に座って、あたりの音 - 鳥の鳴き声、リスやチップモンクたちの鳴き声、木の葉の鳴る音、時折通る車の音、近所の人たちの声 - に耳を澄ませながら、本を読みます。これが至福のひととき。

 

よく、他のハウスメイトもパティオに出てきて、それぞれに思い思いの作業をして過ごします。時々、誰かが作ってくれたコーヒーやチャイを飲みながら、あるいは、最近購入した、手回しコーヒーグラインダーでコーヒーの豆を挽きながら、ゆっくり本を読む。時々、顔を上げて、木々の枝葉の様子を観察したり、庭の草むらを見つめたり、また、細かく挽き上がったコーヒー粉を瓶に移し替えたり。そしてまた本の続き。他に目的のないこの時間が私は大好きです。

 

今日のお話は、ある日の夕方のこのパティオでの時間からです。

 

その日、私はもう一人のハウスメイトと二人でパティオに座って、それぞれに本を読んでいました。私はいつものようにコーヒーの豆を挽き挽きしながら。

 

ふと、ハウスメイトが顔を上げて上を見上げ、

「もうテントいらないね、葉っぱが大きくなったから。」

と言いました。(注 テントについては前回の記事をご覧ください☆)

 

私はコーヒー豆を挽く手を止めて、「親愛なるメープル」を見上げました。青々と茂った葉っぱがさわさわと風に揺れていました。

 

「本当だ!二週間前はまだ木陰が全然なかったのに、もうこんなに立派な木陰ができてる。そうか、だから晴れてるのに暑く感じなかったんだね。」

 

何で今まで気づかなかったのでしょう。つい先日まで、午後は強い日差しが暑くて暑くて誰も外に座っていられなかったのに。だから、私たちはお布団とシーツでテントを作ったのでした!それはたった二週間前のことです。

 

「信じられる?私たちがテント作ったの、たった二週間前なんだよ!」

 

私は立派に茂った木々たちを見上げながら隣のハウスメイトに言いました。

 

「信じられないよ。」

 

そして、その子はしばしの沈黙の後、笑顔で言いました。

 

「天使、私、あの時テント作っといて本当に良かったよ」

 

その何気ない言葉が、なぜか私の胸にズドーンと響きました。

 

二週間前の私たちは、純粋に暑さをどうにかしたくて、それと、子供のような単純な好奇心から無心でテントづくりをしたのでした。その後まもなく木の葉が成長して、木陰ができて、テントなど必要なくなるなんて夢にも思わずに。

 

そして今、私たちは晴れ渡る夏の空の下、出来立てほやほやの新しい木陰に座って、その時のことを思い返していました。あの時、

「やっぱり、面倒だからあとでやろう」

とか言っていたら、テントなんて作らないで終わってしまったんだろうな。そして、そのことについて特に何も思わず、毎日を過ごしていたんだろうな。

 

でも、現実は違いました。私たちは、テントを作り、その中で特別な時間を過ごし、そして、ある夜には家の皆で楽しくご飯も食べました。私たちの心にはテントで過ごした楽しい思い出が残り、そして、テントの季節は去りました。

 

「あの時、○○していればよかった」

 

これはよく耳にする後悔の言葉です。でも、この日のハウスメイトの言葉はこれの逆でした。

 

「あの時、○○して本当に良かった」

 

後悔の逆って、何ですか?

 

あまり考えたことがなかったけれど、「感謝の気持ち」と言ったらよいでしょうか。ああ、本当に良かった!と振り返って笑顔になる気持ち。

 

「そうだね、本当によかった、あの時テント作って。」

 

私は深く頷きながら、心の中で不思議な気持ちを味わっていました。

 

後悔の逆っていうのも、ひょっとして私の毎日にけっこうあるものなのかな?だったら、もっとそういう瞬間に気づいて、もっともっと味わっていたいな。

 

私たちの時間電車は、毎日旅を続けています。止まることなく、同じところを通ることもなく、毎日毎日、新しい線路を通って、私たちを運んでゆく。

 

今日は窓の外にどんな景色が見えていますか?

 

その中で心に留めたい景色は何がありますか?

 

 

その時胸に響くものを一つでもじっくり味わったとしたら、私たちの中に、何かとても豊かなものが生まれるのかもしれない。時間電車の不思議に思いを馳せた夕方でした。

 

 

おしまいに、今週のフォトレターです。

 

f:id:MapleSummerhouse:20200614045029j:plain

パティオにテント出現(三週間前)

今ではテントなしでも、木陰が日射しを遮ってくれます。

 

f:id:MapleSummerhouse:20200614045211j:plain

パティオのコーヒー

 

 

最後までお読みくださり、本当にありがとうございました☆

 

 

今日も、皆様にとって素敵な一日となりますように。

 

 

 

愛を込めて、

オタワの天使