オタワの天使のオタワ日記

カナダをこよなく愛する、オタワ在住の天使がお届けするオタワの日常レポート。

夢の叶い方

2020年7月18日 オタワにて綴る -

 

皆さんこんにちは、オタワの天使です♪

今日、この日記を訪ねてくださったことに心から感謝します☆

 

熱波に包まれた先週の後、今週のオタワは程よく暑い晴れと雷雨の夕べの入り混じった一週間でした。時折、庭の木々から蝉の鳴き声がきこえると、日本の夏の音が思い出されます。皆さんのお住いの地域では、今週はどんな空模様でしたか?雨が降り続いたり、濃い霧に包まれたり、太陽がなかなか見えない日々が続いたりしていますか。

 

最近、私は日も暮れかかった夕方、少し空気が涼しくなった頃に近所を散歩することがあります。私の住む地域は、ダウ湖やCentral Experimental Farm(中央試験農場?日本語にすると堅苦しいけれど、ここは19世紀にカナダが近代化を進めていた時、中央政府が設置した、農業の研究所。といっても、つまるところ、ここはオタワ市の南に広がる大きな農場兼公園で、様々な動植物たちが生息する美しく広大なエリア)に近い、昔ながらの美しい住宅街なので、歩いていると、一軒一軒素敵なお家を眺めることができて、本当に心が満たされます。

 

どの家もお庭もとても手入れが行き届いているのに加えて、一つとして同じデザインの家がないので(古い住宅地の特典!)、一つ一つ眺めながら、「いつか住むとしたら、こういう家がいいな」と、勝手にお気に入りのお家をマークして楽しんだりします。

 

そんな風に近所を歩いていたある日、私はふと、昔自分が初めて「カナディアンハウス」という名前を耳にした時のことを思い出しました。

 

それは、小学校一年生くらいの時、子供時代を通して仲良しだった友だちの一人が新しい家に引っ越した時のことです。その家が「カナディアンハウス」としてデザインされていたのでした。

 

「『カナディアンハウス』ってどんなお家?」

 

普段から好奇心旺盛の子供だった私は、いつもよりさらに興奮気味で両親とともに、その友達の家族が引っ越した新しいお家に初めて遊びに行きました。

 

到着すると、私はまず、ドアのデザインが日本の住宅と違うことに気が付きました。白いペンキ塗りで、真ん中に楕円形のガラスがはめ込んであり、ドアノブの形も、私の見慣れた形とは違っていました。そして、番地の書いてある場所も、郵便受けの下ではなく、ドアの真横の壁に、大きな金色で数字が刻まれていました。

 

「そうか、これが『カナディアンハウス』なんだ!やっぱり日本の家とは違うんだなああ。素敵だなあ。」

 

そして、家の中に入ってまたまたびっくり。玄関を入るとドアも廊下もなしにすぐにリビングが続いていました。そしてやはりドアなしでキッチンへ、そして二階へ続く階段。二階に続く階段にはカーペットがついていて、それも、私には驚きでした。また、二階に着くと、一つ一つの部屋に続くドアは真っ白なペンキで塗られていました。そうそう、もう一つ忘れられないのは、お風呂が二階にあったことです!

 

私はその子のお家に遊びに行くたびに、お家を隅々まで観察しては、いつも「カナディアンハウスってすごいなあ。かわいいなあ。」と感心したものでした。

 

それから20年以上経った今、私はカナディアンハウスにお部屋を借りて住んでいます。カナダにある、カナディアンハウス -。

 

ドアは白いペンキ塗りで、真ん中にはガラスがはめてあります。番地の数字はドアの横の壁に金色の字で刻まれています。玄関を入るとドアなしでリビングに通じ、その向こうにキッチンがあります。二階へ続く階段にはカーペットはついていませんが(ついている家もありますが、私たちの家はカーペットなしのバージョン)、個室へ通じるドアはどれも白いペンキ塗り。そして、お風呂は二階にあります。

 

子供の頃に日本で出会って憧れたカナディアンハウス。今、カナダのカナディアンハウスに住みながら、私はいつも心のどこかで、子供の時、初めて友だちのお家を訪ねた時の感動が新鮮に思い出されるのを感じます。近所の素敵なお家を眺めながら、私の目は、子供の時と同じように、その家の隅々まで観察し、その可愛い特徴に感心し、そして、私は心の中でつぶやいてしまいます。

 

「そう、これがカナディアンハウス」

 

夢の叶い方って、思いがけず、そして不思議なものですね。

 

「カナディアンハウスって素敵だなあ」と思ったあの時の子供の気持ち。別に夢とも何とも思ってはいなかったけれど、巡り巡って、気づけばこういう形で「夢」が叶っていました。そういうことって、けっこういっぱいあるような気がします。いつかふと思った「いいなあ」が、意外な形で自分の今日に見つかる瞬間。

 

皆さんにとって、今日この日に叶っている、いつかの夢は何ですか?

 

 

おしまいに、今週のフォトレターです。

 

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夏のリドー川、カヌーを楽しむ人々。

 

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カナダグースの家族、道路を歩く

サイクリング中に、また出会ってしまいました - 私のアイドル、カナダグース!

家族でゆっくりと移動中でした。興奮して、急いで写真を撮ろうとしたら、画像がきれいに撮れませんでした。でも、彼らの愛らしい様子は伝わるかと思います♡

 

 

 

最後までお読みくださり、本当にありがとうございました☆

 

今日も、皆様にとって素敵な一日となりますように。

 

 

 

愛を込めて、

オタワの天使

 

やさしさのかたち

2020年7月4日 オタワにて綴る -

 

皆さんこんにちは、オタワの天使です♪

今日この日記を訪ねてくださったことに心から感謝します☆

 

七月になりました。夏至を過ぎ、オタワでは夏が日に日に色濃くなっています。草木の葉の色が濃くなったのもそうですが、何といっても空気の匂いが夏独特の重みを帯びてきました。草と土の香りに湿り気が加わって、深く息を吸い込むと、周りの自然の躍動感あふれる呼吸がそのまま私の体に入ってくるような勢いを感じます。この匂いは日本の夏の匂いと似ていなくもなく、特に夕暮れ時などは日本の夏の空気をありありと思い出して、懐かしい気持ちになったりもします。

 

皆さんのお住いの場所では、外の自然にどんな変化が感じられますか?

 

六月最後の週、私は季節風邪をひき、一週間ほど、お布団の中で休養しました。ベッドの上に寝転がって、「親愛なるメープル」の青々と繁った枝葉を窓の外に見上げながら、私は眠ったり、ぼーっとしたり、時々本を読んだりしながらゆっくりと過ごしました。微熱と疲労感以外に症状がなかったので、休みながら、日々の気づきについていろいろと消化する良い時間となりました。

 

「風邪をひいた」ときいてハウスメイトたちがそれぞれに心配して、栄養のある食事を作って持ってきてくれたり、生姜と蜂蜜の飲み物を作って持ってきてくれたり、夜にゴールデンミルク(ターメリックと牛乳を温めてできる、体の不調を整えるマジカルドリンク)を作ってくれたり、部屋にヒーターを持ってきてくれたり(私の部屋の冷房が効きすぎて寒がっていたので)、いろいろな形で気遣ってくれました。

 

 

 

このようなやさしい心遣いを受けて、私は自然と自分は他の人へどんな風に心を遣っているかと、ベッドの中で空を見上げながら思いを馳せました。

 

心遣いのかたち。

 

子供の頃、幼稚園や学校でいろいろな友だちと遊びながら、私はいろいろな形のやさしさに触れました。誰かが遊びの途中で怪我をすると真っ先に駆けつけてやさしい言葉をかけながら手当をしてあげる子。けんかか何かで泣いてしまった子がいると、隣に座って、変顔をしたり、おかしな話をして、その子が笑うまであの手この手を尽くす子。何かできないことがあって困っている子がいると、さっと声をかけて、やりかたを教えてあげる子。

 

どれも、心のこもった、気遣いの形です。ひとりひとり、それぞれに、他の人へ向けて示す心遣いの形がありました。

 

でも、私がその時理解しなかったのは、誰かに心遣いを示すために、一人の人が、やさしさのすべての形を実現する必要はないのだということです。

 

「○○ちゃんは、怪我した子のそばに寄り添うんだね。やさしいね」

「○○君は、泣いている子を笑わせようとしてあげるなんて、やさしい子だね」

「○○ちゃんは、困っている子がいると、すぐに助けてあげるんだ。やさしいね」

 

昔、こういう言葉を大人の人から聞くと、胸がチクンと痛むことがありました。

 

「私は怪我した子のそばに寄り添わなかった。私は泣いている子を笑わせられない。私は、困っている人がいても、すぐに手を差し伸べない。」

 

だから、私はやさしくないんだ。本当は、こういうことを全部できるようにならないといけないんだ。

 

と、頭のどこかで、私は自分の心遣いのなさを叱ったものでした。

 

 

大人になっても、私の心のどこかにはいつも、「心遣いのなさ」、「やさしさの足りなさ」という言葉がずっと引っかかっていました。それが、先日、「親愛なるメープル」の木を見上げながら、ハウスメイトたちから受け取ったいろいろな形の気遣いを思い返していた時、私の中からポロリとこぼれ落ちました。

 

心遣いややさしさは「ある」「なし」で語るものではなく、「どんな形か」で語るものだ、ということ。

 

人それぞれに、心の中から自然と湧き上がってくるもの、その表現のかたちというものがあります。たとえば、私の場合は、怪我をした人に一番役立つかたちでサポートを与える自信はないですが(実際に手当をしたり、言葉をかけたり)、何か悲しいことがあって落ち込んでいる人に心を込めて手紙を書くことは自然にできます。これは、私にとって自然な心遣いのかたち、です。また、私は悲しくて泣いている人を笑わせることはできないかもしれませんが、誰かの話にじっくり耳を傾けながらその人の気持ちに寄り添うことは自然にできます。これも、私の自然な心遣いのかたち。

 

自分にとって自然な心遣いのかたちを知ることができて、それを必要としている人に大事に届けることができたら、誰かがまったく違う形で心遣いを届けてくれた時にも、もっと素直に受け取れるようになるんじゃないかな。この日、暮れゆく空の色を眺めながら、私はそんなことを思ったのでした。

 

皆さんにとって、自然な心遣いのかたちは何ですか?

 

 

おしまいに今週のフォトレターです。

 

 

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おいしい食事のプレゼント

風邪で休養中に、ハウスメイトが作って届けてくれたご飯、キュウリ添え。

(もちろん、おいしかったです!!)

 

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リドー川の夕暮れ

久しぶりに外の写真です☆コロナウイルスの状況が少し安定してきたので、自転車に乗って、大学の友人一人に会いに行ってきました。

 

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カナダグースの行進!

その帰り道、リドーカナルをさっそうと自転車で走っていた私は、この光景を目にして、急ブレーキをかけました。この点々がなんだか分かりますか?なんと、20羽を超えるカナダグースの一群がきれいに列を作ってカナルを行進中でした!興奮して思わず黄色い声を上げてしまいました。

 

 

最後までお読みくださり、本当にありがとうございました☆

 

今日も皆様にとって素敵な一日となりますように。

 

 

愛を込めて、

オタワの天使

 

お庭の大家族

2020年6月20日 オタワにて綴る -

 

皆さんこんにちは、オタワの天使です♪

今日、この日記を訪ねてくださったことに心から感謝します☆

 

今日は夏至の日。オタワ時間で6月20日、日本時間で6月21日が今年の夏至。皆さんは、今どこでどんな一日を迎えていますか。太陽は見えますか。

 

今日のオタワは天気が良く、蒸し暑く、外の気温は30℃超だそうです。私も、このお便りを書いた後、外に出て、蒸し暑さを体感しに行く予定です。今週は、またしても先週とは打って変わって、連日晴れ日、気温が30℃以上に上がった日が続いた一週間でした。太陽がカンカン照りの日は、木陰があっても、帽子を被らないと頭がくらくらしてしまいそうです。皆さんのお住いの地域では、今週はどんな気候の一週間でしたか。

 

こちらオタワでも、少しずつ、お店が開いてきて、人も10人までなら集まってもよくなったりと、徐々に規制が緩和されてきました。とはいうものの、私たちの家の7人は相変わらず、基本的に家から外には出ない生活を続けています。近所の歩いていける範囲には出かけることはあっても、公共交通機関はまだしっかりと避けている生活です。

 

さて、こんなふうにしばらく毎日同じ生活を続けていると、同じように規則正しく生活しているものたちの様子がとても近くに感じられることがあります。それは -

 

私たちの庭に住まう様々の動物たちです。

 

庭のここかしこにいつも見られるのが、リス(黒いリスと、灰色のリス)さんと、それより体が一回り小さいチップモンクさんです。それから、様々の種類の鳥たち。

 

このほかに、4月頃からは野ウサギさんとスカンクさんが数匹見られるようになり、つい最近は、新たにタヌキさんが馴染みの顔に加わりました!

 

そして、今週は家の中に歓声が上がり、何かと思ったら、なんとスカンクの赤ちゃんが4匹、お母さんスカンクと一緒に庭の端っこに姿を現したようです。私はその時は見逃してしまいましたが、後日、天使の小窓から、お母さんスカンクが赤ちゃんスカンクを4匹連れて庭の端っこのいつもの場所をいそいそと動き回っているのを見つけました。その後、また同じ時間帯に、同じ茂みのあたりに、スカンクの子供たちの集まりを見つけたので、これが彼らの日課なのだと理解しました。

 

一方のタヌキさんですが、彼らはだいたい夜に姿を現します。子タヌキも見つけたので、やっぱり家族でこの辺りに暮らしているんだと思います。タヌキさんは人を見ても怖がらないので、本当に肝が据わっているなーと感心しました。そのうえ、つぶらな瞳なので、じっと見つめられると思わず抱っこしたくなってしまいます。

 

また、私の部屋の窓に、毎日決まった時間にやってくるハチが一匹います。本当にびっくりするほど決まった時間に「ブーン」と大きな羽音をたててやってきます。その音が聞こえると、私は窓の網戸を確認して、窓の開きを小さくします。というのも、このハチは飛び方がランダムで、いったん部屋に入り込むと、自分で出口が分からなくなってしまうので、入り込まなくて済むように、私の方から、窓を閉じておきます。

 

それから、しばらく前には、毎日決まった時間に机にやってくるアリがいました。毎日、同じルートで机の上を端から端まで何回か往復して去っていくのが彼の日課でした。このアリがやってくると、私は手を机の上からよけて、アリのルートを邪魔しないように気を付けていました。もう来なくなってしまいましたが、今はあのアリはどこでどうしているやら。

 

天気がいいと、私は時々、天使の小窓から屋根の上に出て、そこで数学の問題に取り組みます。そうして屋根の上に座っていると、実にいろいろなものが風に乗って私の横を流れていきます。それは小さなクモかもしれないし、または白い綿毛、木の種、小枝のこともあります。そして、屋根の上にはアリや色とりどりの小さな虫たちが何匹かいそいそと動き回っています。こういう様々のものたちが流れていくのを見ると、私もこの流れの一部なんだなと思えて、どこかとても安心するところがあります。そして、庭を見下ろせば、走り回るリスたち、時々庭を横切る野ウサギたち、それからスカンクの家族の様子。一日の時の流れを感じることができます。

 

皆さんの身の回りには、どんなユニークなお隣さんがいますか?そのお隣さんはどんな日課を持っていますか?

 

余談

私たちは庭の動物たちをあまりにも身近に感じるようになったので、先日はこんな面白いエピソードがありました。ある男の人が犬の散歩をしていて、その犬が私たちの庭のスカンクを見つけて後を追って庭に入ってきました。飼い主の男の人も犬を追って庭の中へ。そこへ私のハウスメイトが一人、通りかかりました。

「君たちの庭にはスカンクがいるみたいだよ。犬が追いかけたよ。」

男の人は庭に入ってしまったことでぎこちなく感じたのか、ハウスメイトに向かって話しかけました。彼女はいたって落ち着いて

「ああ、それね。私たちのスカンク(Our skunk)だよ」

と言いました。何気なく言ったのですが、男の人は驚いて

「え、君たちのスカンクだって?」

と飛びのいたそうです。その話をきいて、私は笑ってしましました。

 

 

 

おしまいに、今週のフォトレターです。

 

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日本から届いた品々

2週間前に母が送ってくれた荷物が今週の木曜日に無事に届きました。私の好物のおせんべいも入っています♡

 

 

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卒業祝いのパーティ

 

今週の水曜日には、ハウスメイト二人の卒業セレモニーがありました。でも、コロナウイルスのため、オンラインでのセレモニーとなってしまったので、代わりに家の皆でドレスアップして夜にご飯を食べながら二人の卒業をお祝いしました。

 

 

 

最後までお読みくださり、本当にありがとうございました☆

 

今日も、皆様にとって素敵な一日となりますように。

 

 

 

愛を込めて、

オタワの天使

 

時間電車に乗りながら思うこと

2020年6月13日 オタワにて綴る -

 

皆さんこんにちは、オタワの天使です♪

今日、この日記を訪ねてくださったことに心から感謝します☆

 

6月半ばに差し掛かるこの週末。晴れ空の暑い夏日が続いた先週とは打って変わって、今週のオタワは雨の日と風の日が続いた一週間でした。つい3週間前には黄色い赤ちゃん葉っぱをつけていた庭のメープルの木々たちが今はもう濃い緑の大きな葉っぱを身にまとい、立派な木陰を作っています。風が吹けば、さわさわと美しい音があたり一面に響き渡ります。この音、ずーっと待っていた懐かしい音!心の落ち着く、やさしい音。

 

皆さんのお住いの場所では、今どんな季節の景色が顔を見せていますか?

 

最近、私には毎日ひそかに楽しみにしているイベントがあります。それは、天気の良い日の午後に、仕事時間を終えてシャワーを浴びた後、庭のパティオに座って本を読むことです。「親愛なるメープル」の作る木陰に座って、あたりの音 - 鳥の鳴き声、リスやチップモンクたちの鳴き声、木の葉の鳴る音、時折通る車の音、近所の人たちの声 - に耳を澄ませながら、本を読みます。これが至福のひととき。

 

よく、他のハウスメイトもパティオに出てきて、それぞれに思い思いの作業をして過ごします。時々、誰かが作ってくれたコーヒーやチャイを飲みながら、あるいは、最近購入した、手回しコーヒーグラインダーでコーヒーの豆を挽きながら、ゆっくり本を読む。時々、顔を上げて、木々の枝葉の様子を観察したり、庭の草むらを見つめたり、また、細かく挽き上がったコーヒー粉を瓶に移し替えたり。そしてまた本の続き。他に目的のないこの時間が私は大好きです。

 

今日のお話は、ある日の夕方のこのパティオでの時間からです。

 

その日、私はもう一人のハウスメイトと二人でパティオに座って、それぞれに本を読んでいました。私はいつものようにコーヒーの豆を挽き挽きしながら。

 

ふと、ハウスメイトが顔を上げて上を見上げ、

「もうテントいらないね、葉っぱが大きくなったから。」

と言いました。(注 テントについては前回の記事をご覧ください☆)

 

私はコーヒー豆を挽く手を止めて、「親愛なるメープル」を見上げました。青々と茂った葉っぱがさわさわと風に揺れていました。

 

「本当だ!二週間前はまだ木陰が全然なかったのに、もうこんなに立派な木陰ができてる。そうか、だから晴れてるのに暑く感じなかったんだね。」

 

何で今まで気づかなかったのでしょう。つい先日まで、午後は強い日差しが暑くて暑くて誰も外に座っていられなかったのに。だから、私たちはお布団とシーツでテントを作ったのでした!それはたった二週間前のことです。

 

「信じられる?私たちがテント作ったの、たった二週間前なんだよ!」

 

私は立派に茂った木々たちを見上げながら隣のハウスメイトに言いました。

 

「信じられないよ。」

 

そして、その子はしばしの沈黙の後、笑顔で言いました。

 

「天使、私、あの時テント作っといて本当に良かったよ」

 

その何気ない言葉が、なぜか私の胸にズドーンと響きました。

 

二週間前の私たちは、純粋に暑さをどうにかしたくて、それと、子供のような単純な好奇心から無心でテントづくりをしたのでした。その後まもなく木の葉が成長して、木陰ができて、テントなど必要なくなるなんて夢にも思わずに。

 

そして今、私たちは晴れ渡る夏の空の下、出来立てほやほやの新しい木陰に座って、その時のことを思い返していました。あの時、

「やっぱり、面倒だからあとでやろう」

とか言っていたら、テントなんて作らないで終わってしまったんだろうな。そして、そのことについて特に何も思わず、毎日を過ごしていたんだろうな。

 

でも、現実は違いました。私たちは、テントを作り、その中で特別な時間を過ごし、そして、ある夜には家の皆で楽しくご飯も食べました。私たちの心にはテントで過ごした楽しい思い出が残り、そして、テントの季節は去りました。

 

「あの時、○○していればよかった」

 

これはよく耳にする後悔の言葉です。でも、この日のハウスメイトの言葉はこれの逆でした。

 

「あの時、○○して本当に良かった」

 

後悔の逆って、何ですか?

 

あまり考えたことがなかったけれど、「感謝の気持ち」と言ったらよいでしょうか。ああ、本当に良かった!と振り返って笑顔になる気持ち。

 

「そうだね、本当によかった、あの時テント作って。」

 

私は深く頷きながら、心の中で不思議な気持ちを味わっていました。

 

後悔の逆っていうのも、ひょっとして私の毎日にけっこうあるものなのかな?だったら、もっとそういう瞬間に気づいて、もっともっと味わっていたいな。

 

私たちの時間電車は、毎日旅を続けています。止まることなく、同じところを通ることもなく、毎日毎日、新しい線路を通って、私たちを運んでゆく。

 

今日は窓の外にどんな景色が見えていますか?

 

その中で心に留めたい景色は何がありますか?

 

 

その時胸に響くものを一つでもじっくり味わったとしたら、私たちの中に、何かとても豊かなものが生まれるのかもしれない。時間電車の不思議に思いを馳せた夕方でした。

 

 

おしまいに、今週のフォトレターです。

 

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パティオにテント出現(三週間前)

今ではテントなしでも、木陰が日射しを遮ってくれます。

 

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パティオのコーヒー

 

 

最後までお読みくださり、本当にありがとうございました☆

 

 

今日も、皆様にとって素敵な一日となりますように。

 

 

 

愛を込めて、

オタワの天使

 

 

 

 

 

分かち合うことについて

2020年5月30日 オタワにて綴る -

 

皆さんこんにちは、オタワの天使です♪

今日、この日記を訪ねてくださったことに心から感謝します☆

 

土曜日の昼下がり。今日のオタワは曇り空です。気温が30℃近くまで上がったこの一週間の終わりに、今日は15℃と涼しめです。時折風が吹いて、庭の木々たちの葉っぱがさわさわと心地の良い音をたてます。そう、この音が楽しめる季節がまた巡ってきました。毎日晴れの日が続いた先週とは対照的に、今週は雨がたくさん降った一週間でした。日本の夏のように湿度が高く、外に出ると土と草の香りが厚く立ち込め、体全体を包み込みます。なんとなく、懐かしい香りです。

 

皆さんのまわりでは、どんな季節の香りがしますか?

日本ではそろそろ梅雨が始まる頃。その気配はもう感じられたりしますか?

 

今日は皆さんに尋ねたいことがあります。それはこんなことです -

 

「誰かと何かを分かち合うことの喜びって何ですか?」

 

最近よくこのことについて考えるので、皆さんにもぜひ尋ねてみたいと思いました。

 

コロナウイルス対策で三月から家におこもりするようになってからというもの、以前に増して、一緒に暮らすハウスメイトと活動をともにするようになり、生活スタイルの変化とともに、気づくことがいろいろとあります。何も私のシェアハウス生活は今に始まったことではありませんが、こうしてみると、同じ屋根の下に生活することと、一緒に暮らすこととの違いに気づきます。この二つの大きな違いは「分かち合い」の体験です。

 

たとえば食べ物の「分かち合い」。

 

ここに7個のオレンジがあります。この間の買い物で買ったオレンジ。全部一人で食べるのもいいですが(食い意地の強い私はよくやるパターン)、そのオレンジを一つ切ってその搾りたてジュースをオレンジが好物のハウスメイトのところにもっていく。

 

「わー、おいしい!!」

 

最初の一口を飲んでその子の目が輝くのを見て、私の口からも笑みがこぼれます。

 

最近毎朝、私のドアのところにチャイを持ってきてくれるハウスメイト。時にはそれにビスケットやお茶菓子までついてきます。それを「おいしいなー」と味わいながらいただく。自分で作って飲むのとは一味も二味も違う、特別な味わい。

 

そして、物の「分かち合い」。

 

私たちは最近、部屋の中でお線香をたくことにはまっています。日本では仏壇との繋がりが濃いので「えー!」と思うかもしれませんが、これがとても心地よく、リラクゼーションに最高なのです。(ぜひお試しください♪)

 

お線香はけっこう一本一本貴重なので、初めの頃は正直のところシェアに躊躇のあった私ですが、続けるうちに、抵抗がなくなったどころか、分かち合いの魅力に気づきました。一人だと、ひと箱、同じ香りを毎日使わなければいけないところ、何人かでシェアすると、それぞれ違う香りのお線香を持っているので、毎日違う香りが楽しめます。また、部屋のドアを開けておけば、自分ではたかなくとも他の人がたいたお線香の香りを楽しむこともできます。そしてさらに、お線香の香りについて「これはこんな香りだね」とか「これいい香り」とかいいながら感想を分かち合うことも楽しいです。

 

料理の「分かち合い」。

 

一人暮らしに慣れると、計画的に料理することを学びます。つまり、「今日はたくさんつくっておいて、明日は料理しなくていいようにしようっと!」というような作戦です。私は東京での一人暮らし時代からこのスキルを身に着けました。けっこうお役立ちスキルと思うでしょう?でも、これはシェアの精神の前にガラガラと崩れ去ることがあります。

 

たとえば、今日はおいしいシチューができました。ぜひ、皆にも食べてほしく、メモに「ぜひ食べてください♡」と書いて置いておきます。すると、たくさんあったと思っても、翌日には空っぽになっていることもあって、「作り置き作戦」は失敗に終わります。でも、代わりに、いろんな人から「おいしかった!」「ありがとう!」という満面の笑みの感想をもらって、そうなると、「やっぱり喜んでもらえて良かったじゃん。また今晩作ればいいじゃん。」と、嬉しい気持ちが勝るのです。

 

時間の「分かち合い」。

 

私は、子供の頃、家に兄弟もなく(たった一人の弟は私が5歳の時に旅立ちました)、親戚からも遠く典型的な核家族で育ったのと、もともと一人で想像の世界に浸るのが好きな性格だったせいで、大人になってもけっこう一人でいろいろな活動をすることが多いです。それはそれで満足なのですが、私のもう一つの側面は人と一緒に時間を過ごすことに特大の喜びを見出します。でも、普段は普段の生活に埋もれて、そんな自分の側面と離れて過ごすこともしばしばです。

 

でも、この家の6人のハウスメイトとのおこもり生活は、私たちに時間の共有の機会をたくさん与えてくれます。

 

先週は中でもひときわ印象に残る出来事がありました。暑い晴れの日が続く中、私ともう一人のハウスメイトは庭のパティオに家にあったシーツやお布団でテントを作ることに成功、その隠れ家のような場所で本を読んだり、飲み物を飲んだり、おしゃべりをしたりしながら過ごしました。そして、先週末には、夜にテントの中にキャンドルやクリスマスライトを灯して、そこで家の皆で夕ご飯を一緒に食べました。子供時代の夢そのもののような時間でした。皆もそう感じていたのではないかと思います - 子供の頃の自由な感覚。音楽をかけて、歌を歌ったり、学校でやったような手遊びゲームをしたりしました。これは、7人みんなで作り出した時間でした。楽しいだけじゃなくて、何か心の満たされる時間でした。

 

「分かち合い」にはもちろん不便もつきものです。たとえば、皆で一斉注文した買い物の配達が届いてバナナの数を数えると、数が足りない。バナナは皆注文したから、公平に分けなきゃいけないんだけど、どうやら全体の数が足りなかったよう。

 

自分の分のバナナを取ろうとしたら、なんと10個注文したはずが、5個しかない・・・

 

「わたいのバナナはどこへいったーっ!!!」

 

10個のはずのバナナが5個しかなかった。食い意地の強い私にとってこれは大問題。

 

「大問題じゃー!!!」

 

ひとしきり自分の中で騒いで、すっきり。

 

「10個注文したはずのバナナが5個だけ私のところに届きましたとさ。つづく。」

 

こういうさもない不便はつきものですが、そして中にはもうちょっと大きな不便も時にはあるかもしれませんが、でもそれを超えて、何かを誰かと分かち合うことには、他では得られない独特の喜びがあると、改めて感じている今日この頃です。自分の思い通りにならないこと。でも思い通りにならないから、思いがけない喜びや発見に恵まれるということ。

 

皆さんは、最近どんな「分かち合い」の瞬間がありましたか?そこで感じる気持ちはどんな気持ちですか?

 

おしまいに今週のフォトレターです。

 

 

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手作りテントの屋根を見上げると

 

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風鈴の贈り物

私のオタワ到着3周年記念に、同じフロアの三人の女の子がこの素敵な風鈴をプレゼントしてくれました。

 

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日暮れ前の光のマジック

 

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親友二人

 

天使の29年来の愛犬のGund君はハウスメイトのテディベアのTushu君と親友になりました。二人はこの冬一緒にインドに行ってきました。帰ってきてからというもの、二人の絆は深まり、兄弟のようにいつも一緒にいます。「Brother Gund, what do we do now?」「Just look at the sky, my brother. The colour is changing!」「Oh yes, my brother!! Why is it changing like this?」「... That, my brother, we have to imagine, for we don't know the reason!」

 

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楽しい二人

 

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アボカド&ヌテラ王子

こちらは今朝、ハウスメイトが作った作品、「アボカド&ヌテラ王子」。完成直後、「今のお気持ちは?」とインタビューしたところ、「I feel so happy and beautiful!」と答えた、かわいい王子です。

 

 

最後までお読みくださり、本当にありがとうございました☆

 

今日も皆様にとって素敵な一日となりますように。

 

 

 

 

愛を込めて、

オタワの天使

 

学びの瞬間

2020年5月16日 オタワにて綴る -

 

皆さんこんにちは、オタワの天使です♪

今日、この日記をた訪ねてくださったことに、心から感謝します☆

 

土曜日の夕方、今日のオタワは曇り空です。でも、風はなく、外は過ごしやすい気候、お隣さんのお庭ではお家のご夫婦がパティオの椅子に座って静かな時間を楽しんでいる様子が見られます。私たちの家の庭にも、ついにチューリップが一輪花を咲かせました!色は黄色。これからその隣に咲くチューリップたちの色が何色なのか分かる日が楽しみです。

 

皆さんは、今日はどこでどんな一日を迎えていますか。外にはどんな色が広がっていますか。

 

今週は素晴らしく晴れ渡った美しい青空の日が何日かありました。芽吹き始めた木々の黄緑色の若葉が日の光に当たって輝き、何種類もの鳥たちがここかしこで静かにさえずり、庭には野ウサギさんやスカンクさんが姿を現し、こんなのどかな日は庭のパティオはパラダイスそのものです。

 

そんなある日、天使の小部屋で仕事時間を終えた私は、なんだか外のきれいな天気に比べて気分がしぼんでいると感じました。

「このままだと、しぼんだ風船のような気持ちで夜を迎えちゃうなあ・・・。せっかくきれいな天気なのに。こんな時は、何か心の膨らむことをしよう。そうだ、ケーキを焼こう!」

 

キッチンへ降りていくと、あいにくフルーツは何も残っていませんでしたが、冷蔵庫にあったレモンの皮を使ってレモンケーキを作ることにしました。

 

そこへハウスメイトがひとり、部屋の植物の鉢を抱えてやってきました。いつも天気が良い日は植物をパティオに出して日光浴をさせるのです。彼女自身も椅子を外に出してパティオで本を読みだしました。

 

その絵のような様子を横目に楽しみながら、私はせっせとレモンケーキの生地作り。手つきが慣れたことに我ながら驚きながら、型に流し込んだケーキの生地をオーブンへ。それから私はエスプレッソを二人分作って、そのカップとともにパティオに出て、ハウスメイトの隣の床に座りました。コーヒーを堪能しながら、私はしばし、若葉の美しい「親愛なるメープル」を見上げ、庭のパラダイスの様々な音に耳を傾けて何も考えない、何もしない贅沢な時間を味わいました。

 

ケーキが焼きあがってオーブンから出すと、それはそれは美しい、満月のような黄色くてまんまるのレモンケーキが姿を現しました。

 

歓声の後、自身ケーキ作り大好き(かつ上手な)ハウスメイトが

ホイップクリーム作ろうか?」

と提案。

 

彼女は手のひらに乗るサイズの小さな電動ミキサーを持っていて、最近はそれを使ってホイップクリームを作ることにはまっているのでした。その美味しさを先週のマフィンの時に味わったばかりの私は

「作る!!」

と子供のように即答。

 

というわけで、ホイップクリーム作りが始まりました。これがなかなかに手間のかかる作業なのです。なにせ、小さなミキサーなので一度にたくさんの量をかき混ぜることはできません。けっこう辛抱強くミキサーを回し続けなければいけないのでした。

 

混ぜ始めてしばらくして、クリームにもレモンの皮のエッセンスを入れようかという話になりました。それで、まずは少量試してみたら、ということで、棚から浅いガラスのコップを取り出してそこにクリームを少し移し、レモンの皮とともに混ぜ始めました。

 

と、わずか数分後には完璧な柔らかさのホイップクリームが出来上がりました!こんなに早く出来上がったことは今まで一度もありませんでした。

 

「分かった!」

 

ハウスメイトが神妙な顔で発表しました。

 

「クリームは浅い入れ物で混ぜたほうがいいんだ。それから、素材もガラスがいいみたい。」

 

それまで私たちはいつも、深いプラスチックの入れ物でミキサーを使っていました。なんとなんと。ミキサーに最適の条件というものがあったことを、この時私たちは初めて知ったのでした。

 

コツをつかんで次々と完璧なホイップクリームを完成させていくハウスメイトの横に立ちながら、私はこの一瞬の出来事、観察、そして気づきを不思議な気持ちで見つめていました。

 

私たちの台所で起こった、このささやかな技術革新。あまりにささやかすぎて、通り過ぎてしまいそうな、この一瞬の学びの瞬間。

 

「学び」というと、日々努力して行うものと思いがちですが、私たちのところに、ふいにマジックのように突然起こる学びもある。あまりに一瞬の出来事で、自然に起こるので、私たちの記憶にも残らないような、学びのマジック。その前と後で世界が変わったのに、そのことを私たちに気づかせないくらい上等のマジック。

 

だけど、こういう魔法のような革新の瞬間は、実は私たちの毎日のここかしこに溢れているのでは?

 

この日、私は静かに「ホイップクリーム革新日」を心のノートに記録したのでした。

 

皆さんは、最近どんな驚くべき「学びのマジック」を体験しましたか?

 

おしまいに、今週のフォトレターです。

 

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パティオから見上げる、親愛なるメープル

 

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おいしいレモンショートケーキ♡

 

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美しきコーヒー豆

 

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コーヒー豆の入った手作りの箱人形

コーヒー豆の音を楽しむために作った折り紙の箱人形たちです。

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コーヒー豆を挽く職人の手

 

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コーヒー豆からできた亀さんの模様

 

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春の訪れ、芽ニョキニョキ

 

 

最後までお読みくださり、本当にありがとうございました☆

 

今日も皆様にとって素敵な一日となりますように。

 

 

 

愛を込めて、

オタワの天使

 

親愛なるメープル

2020年5月9日 オタワにて綴る -

 

皆さんこんにちは、オタワの天使です♪

今日、この日記を訪ねてくださったことに、心から感謝します☆

 

 

5月の連休明け、皆様この週末はいかがお過ごしですか。

オタワは今日は久しぶりの冬日です。気温が何週間かぶりに0℃まで下がり、昨日今日と雪までちらついています。冬のことをちょっと思い出しながら、でも日が長くなったので(今は日の入りが夜の8時過ぎです)、気分は冬には戻りません。そうそう、今週はついに家の外の木々に新芽が芽吹きました!半年ぶりに目にする草木の緑色がとてもまぶしいです。鳥たちの鳴き声、活発に動き回る動物たちの様子、力強い日の光、そして新芽の緑色、地面に見え始めた花の色。季節が巡っていること、そしてその喜びを肌で感じる毎日です。

 

今週の水曜日、5月6日は天使のオタワ到着3周年記念日でした。今日はそれにちなんで、私の窓の外に佇む一人の大切な友だちのことを紹介したいと思います。

 

その友だちとは、楓の木です。天使の小窓の外に大きく枝を広げる、楓の木。私はこの木のことを「親愛なるメープル」と呼んでいます。楓の木はたくさんありますが、この木は私にとって、特別に近しい楓の木です。

 

出逢いは、3年前の5月7日の朝。前日の夜にオタワに到着して、この家で初めての夜を過ごし目覚めた朝。私は窓越しにこの楓の木に初めてお目にかかりました。といっても、この時はこの楓の木に特に注目したわけではなく、きれいな庭の景色の一部としてお目にかかったのでした。でも、窓のすぐ外にこんなに大きくて立派な楓の木があるなんで素敵だなと嬉しく思ったのは覚えています。

 

オタワに到着して最初の1か月間、私はけっこう一人で寂しい気持ちを味わっていました。そう、新しい土地に住むのに慣れているはずの天使ですが、やっぱり住み始めはいつもチャレンジ。言葉はしゃべれるし、買い物もできるし、でも、馴染みのない土地、見知った人のいない場所、おまけに大学は夏休みで人と会う機会がとても限られていました。その時のハウスメイトは今とは違うメンバーで、特に家の中に温かい空気があったわけでもありませんでした。私は久しぶりに新しい場所で有り余る一人の時間に押しつぶされそうになっていました。

 

そんな折、毎日、窓の外に目を向けるとそこに静かに佇んでいたのがこの楓の木でした。枝を大きく広げて、新しい緑の葉っぱをきらきらと風になびかせて、楽し気に何やら語っていました。鳥たちや動物たちの訪問をたくさん受けて、やさしくて大らかなこの木の様子が私にもよく伝わってきました。

 

気分が沈むと、私はいつもこの楓の木に目をやり、風に揺れる葉っぱたちの音に耳を傾け、鳥たちの鳴き声に大きな喜びを見出していました。

 

「親愛なるメープル」は私の大切な心の友だちとなりました。

 

その後、ハウスメイトの一人ととても近しくなり(その子は今はトロントに住んでいます)、大学でも何人か顔見知りの友だちができ、だんだんとオタワの街角も馴染みとなり、孤独な気持ちに押しつぶされることもなくなっていきました。

 

でも、私とこの楓の木の友情は今でも私の大切な宝物です。春には新芽を芽吹かせ、夏には輝く緑の葉っぱで涼しい、そして美しい木陰を作り、秋には日に日に変わる葉の色を通して冬の訪れが近いことを告げ、そして氷点下の長い長い冬の間はその立ち姿で私たちの心を安心させてくれる。1年を通して、さまざまな動物たち、鳥たちの訪問を温かく受け入れ、その家となる。

 

私も、この木のようでありたい。

 

いつも私のお手本であり、心のよりどころである、「親愛なるメープル」です。

毎日、天使の窓の外にいてくれて、ありがとう。

 

皆さんには、どんな秘密の友だちがいますか?その友だちと、どんなことを語らいますか?

 

おしまいに今週のフォトレターです。

 

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新芽前夜、美しい夕暮れ

 

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インド那須と私のヒンディ練習ノート

家にいる時間を使って、日本語とヒンディ(インドの公用語の一つ)の語学交換学習を始めました。最近は私はヒンディであいさつ、ハウスメイトたちは日本語であいさつします。

 

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イチゴチョコマフィンとチャイ

ある日の夕方のお茶の時間より♡

 

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スペシャルチャイ

 

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スペシャルチョコシェイク

私のオタワ3周年を記念して、デザート作りが上手なハウスメイトが特別なチョコレートシェイクを作ってくれました。お、い、し、か、った!!

 

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キチディの三つのミントの葉添え

また別のハウスメイトは私の記念日に食事のプレゼントをしてくれました!こちらは私の好物インドのKhichdi、お米とレンツ豆でできたとてもやさしいお料理です。3周年にちなんで、ミントの葉を3つ添えてくれました。うーん、とってもおいしかったです♡

 

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アルゴビとロティ

夕食のプレゼントはジャガイモとカリフラワーのカレー☆一口一口、味わっていただきました♡

みんな、心のこもった特別なプレゼントをありがとう。私のささやかな記念日を特別なものにしてくれました。

 

 

 

記念日をお祝いするって、とても素晴らしいことですね。忙しい今時、どうしても大切なことを忘れてしまいがちですが、なんでも、どんな小さな記念日でも、ちゃんと心を込めてお祝いするということ。記念日を大事にするということ。

 

 

最後までお読みくださり、本当にありがとうございました☆

 

今日も皆様にとって素敵な一日となりますように。

 

 

愛を込めて、

オタワの天使