やさしさのかたち
2020年7月4日 オタワにて綴る -
皆さんこんにちは、オタワの天使です♪
今日この日記を訪ねてくださったことに心から感謝します☆
七月になりました。夏至を過ぎ、オタワでは夏が日に日に色濃くなっています。草木の葉の色が濃くなったのもそうですが、何といっても空気の匂いが夏独特の重みを帯びてきました。草と土の香りに湿り気が加わって、深く息を吸い込むと、周りの自然の躍動感あふれる呼吸がそのまま私の体に入ってくるような勢いを感じます。この匂いは日本の夏の匂いと似ていなくもなく、特に夕暮れ時などは日本の夏の空気をありありと思い出して、懐かしい気持ちになったりもします。
皆さんのお住いの場所では、外の自然にどんな変化が感じられますか?
六月最後の週、私は季節風邪をひき、一週間ほど、お布団の中で休養しました。ベッドの上に寝転がって、「親愛なるメープル」の青々と繁った枝葉を窓の外に見上げながら、私は眠ったり、ぼーっとしたり、時々本を読んだりしながらゆっくりと過ごしました。微熱と疲労感以外に症状がなかったので、休みながら、日々の気づきについていろいろと消化する良い時間となりました。
「風邪をひいた」ときいてハウスメイトたちがそれぞれに心配して、栄養のある食事を作って持ってきてくれたり、生姜と蜂蜜の飲み物を作って持ってきてくれたり、夜にゴールデンミルク(ターメリックと牛乳を温めてできる、体の不調を整えるマジカルドリンク)を作ってくれたり、部屋にヒーターを持ってきてくれたり(私の部屋の冷房が効きすぎて寒がっていたので)、いろいろな形で気遣ってくれました。
このようなやさしい心遣いを受けて、私は自然と自分は他の人へどんな風に心を遣っているかと、ベッドの中で空を見上げながら思いを馳せました。
心遣いのかたち。
子供の頃、幼稚園や学校でいろいろな友だちと遊びながら、私はいろいろな形のやさしさに触れました。誰かが遊びの途中で怪我をすると真っ先に駆けつけてやさしい言葉をかけながら手当をしてあげる子。けんかか何かで泣いてしまった子がいると、隣に座って、変顔をしたり、おかしな話をして、その子が笑うまであの手この手を尽くす子。何かできないことがあって困っている子がいると、さっと声をかけて、やりかたを教えてあげる子。
どれも、心のこもった、気遣いの形です。ひとりひとり、それぞれに、他の人へ向けて示す心遣いの形がありました。
でも、私がその時理解しなかったのは、誰かに心遣いを示すために、一人の人が、やさしさのすべての形を実現する必要はないのだということです。
「○○ちゃんは、怪我した子のそばに寄り添うんだね。やさしいね」
「○○君は、泣いている子を笑わせようとしてあげるなんて、やさしい子だね」
「○○ちゃんは、困っている子がいると、すぐに助けてあげるんだ。やさしいね」
昔、こういう言葉を大人の人から聞くと、胸がチクンと痛むことがありました。
「私は怪我した子のそばに寄り添わなかった。私は泣いている子を笑わせられない。私は、困っている人がいても、すぐに手を差し伸べない。」
だから、私はやさしくないんだ。本当は、こういうことを全部できるようにならないといけないんだ。
と、頭のどこかで、私は自分の心遣いのなさを叱ったものでした。
大人になっても、私の心のどこかにはいつも、「心遣いのなさ」、「やさしさの足りなさ」という言葉がずっと引っかかっていました。それが、先日、「親愛なるメープル」の木を見上げながら、ハウスメイトたちから受け取ったいろいろな形の気遣いを思い返していた時、私の中からポロリとこぼれ落ちました。
心遣いややさしさは「ある」「なし」で語るものではなく、「どんな形か」で語るものだ、ということ。
人それぞれに、心の中から自然と湧き上がってくるもの、その表現のかたちというものがあります。たとえば、私の場合は、怪我をした人に一番役立つかたちでサポートを与える自信はないですが(実際に手当をしたり、言葉をかけたり)、何か悲しいことがあって落ち込んでいる人に心を込めて手紙を書くことは自然にできます。これは、私にとって自然な心遣いのかたち、です。また、私は悲しくて泣いている人を笑わせることはできないかもしれませんが、誰かの話にじっくり耳を傾けながらその人の気持ちに寄り添うことは自然にできます。これも、私の自然な心遣いのかたち。
自分にとって自然な心遣いのかたちを知ることができて、それを必要としている人に大事に届けることができたら、誰かがまったく違う形で心遣いを届けてくれた時にも、もっと素直に受け取れるようになるんじゃないかな。この日、暮れゆく空の色を眺めながら、私はそんなことを思ったのでした。
皆さんにとって、自然な心遣いのかたちは何ですか?
おしまいに今週のフォトレターです。
風邪で休養中に、ハウスメイトが作って届けてくれたご飯、キュウリ添え。
(もちろん、おいしかったです!!)
久しぶりに外の写真です☆コロナウイルスの状況が少し安定してきたので、自転車に乗って、大学の友人一人に会いに行ってきました。
その帰り道、リドーカナルをさっそうと自転車で走っていた私は、この光景を目にして、急ブレーキをかけました。この点々がなんだか分かりますか?なんと、20羽を超えるカナダグースの一群がきれいに列を作ってカナルを行進中でした!興奮して思わず黄色い声を上げてしまいました。
最後までお読みくださり、本当にありがとうございました☆
今日も皆様にとって素敵な一日となりますように。
愛を込めて、
オタワの天使