天使の小窓より
2020年3月21日 オタワにて綴る -
土曜日のお昼時。1週間、いろいろな天気の日がありましたが、今日は雲一つない青空の広がる、これまた絵にかいたような美しい外の様子です。
朝は盛んに鳴いていた鳥たちも今は小休止、外は静かです。
皆さんは、今日はどこでどんな1日を迎えていますか。
今週、カナダではコロナウイルス対策が本格的に始まりました。
大学や多くの職場は立ち入りが原則禁止になり、皆家から仕事をする。そして、街中のお店も次々に閉まり、コーヒーショップやレストランもテークアウェイのみに。
普段は家の近くのコーヒーショップに仕事を持ち込むのを楽しみにしている私も、選択肢がなくなってしまったので、今週は毎日、家から一歩も出ない日々を過ごしました。
家から一歩も出ない生活 -。
というと、閉塞感に満ちた生活の感じがしますが、家から一歩も出ない生活にも独特の魅力があることを気づきました。
私にとっていちばんの魅力は、過ぎゆく時間の流れをじっくり味わうことができることです。
私のお部屋には庭に面した窓がひとつあって、その窓のところにベッドが配置してあります。こうすると、ベッドの上に座りながら、いつでも外の景色や音が楽しめるし、はたまた仰向けに寝転がれば、窓の外にメープルの木の枝が大きく広がるのが見えて、まるで木の上で寝ているような気分を味わえます。
今週は毎日、ベッドの上に座りながら、窓を開けて、外の音に耳を傾けたり家々の庭の様子を眺めたりしながら仕事に取り組みました。
そうすると、自分の身の回りのいろいろな変化に気が付きます。
まず、窓の外から聞こえてくる音。
朝の鳥たちの鳴き声に始まって、風の音、雨の音、車が通っていく音、誰かが日曜大工をする音、犬の鳴き声。
そして、窓から入ってくる外の光。
朝の金色の日の光、雲がやってきてあたりが暗くなる様子、木々の枝が壁の上につくりだす光と影の模様、そして夕方の日の光、ゆっくりと広がる夜の影。
それからもちろん、家の中の音。
皆が朝ごはんを作る音、おしゃべりと笑い声。階段を上ったり下りたりする音。テレビ会議する声。夕方、リビングで誰かがテレビでネットドラマを見る音。
自分が動かないでじっとしていると、周りの世界がゆっくりと移ろっていく様子がとてもよく感じ取れます。それは、とても心地よい、心の安らぐ感覚です。
昨日は朝から晩まで外は風が吹き荒れ、天気がいろいろに変わった一日でした。
そんな日の夕方、キッチンに降りていくと、ハウスメイトの子が一人、音楽をかけて何かを作っているところでした。
私の顔を見るなり、その子は
「チャイ(インドのミルクティーのこと)飲む?」
私はチャイが大好きなことで家中の人に知られています。
私は満面の笑みで「うん、お願い!」と返事しました。
チャイが出来上がると、二人でキッチンの外の庭に面したデッキにクッションを持って出て、風が吹き荒れる中、一瞬訪れた日の光を浴びながらおいしいお茶の時間を楽しみました。デッキに正座して座りながら手すりの向こうに広がる世界を眺めていると、ふいに、子供のころの冒険心が蘇りました。
「ねえ、このデッキは実は船なんだよ。私たちは今、海を航海しているの。」
吹き荒れる風の中、船のデッキの上で飲むチャイは格別でした。
今日は最後に皆さんに、天使の小窓から見える景色をプレゼントしたいと思います。
そして、台所でハウスメイトの子がかけていた音楽。
Passenger の 《Holes》という曲です:
Passenger | Holes (Official Video)
最後までお読みくださり、本当にありがとうございました☆
今日も皆様にとって素敵な一日となりますように。
愛を込めて、
オタワの天使